つつのんの気まぐれ日記

アラカン女子の複雑怪奇な頭の中を書いていきます。

親の心配をよそに、どんな子供も大人になる

今日うれしいことがあった。

Aちゃんが夕飯前にやってきた。

おじいちゃん家で採れた野菜を届けてくれたのだ。

 

野菜もありがたいが、それよりもっと嬉しいこと……

Aちゃんがママになる。

8月にママになる。

今年23歳になったばかりの若いママだ。

 

Aちゃんは娘の同級生のTちゃんのお姉ちゃんで、そのお母さんであるYさんは私の15年来のママ友である。(もう、ママ友という年でもないが・・・・ババ友だ)

 

だから、ずっと聞いてきた。

いや、聞いてあげることしかできなかった。

 

Aちゃんのこと・・・・

小学校の時は、階段から突き落とされた。その先にあったのがガラスが一部埋め込まれたトイレのドア、転がり落ちた反動でガラスが割れ、大ケガをして一カ月の入院をした。

いじめだった。

 

中学校では、今度はいじめをする方に回った。何度も先生に呼び出され、万引き、恐喝で警察のお世話にもなった。

 

さすがにこれではいけないと、お母さんのMさんは悪い友達と引き離すために、Aちゃんを遠い高校に通わせた。

ここで、不登校が始まった。お母さんに反抗して行かなかったのではない。

まじめな子が多い学校で、Aちゃんは友達とうまくいかなかった。

学校の前までは行けるのだが、学校の門をどうしてもくぐれなかったという。

 

中学の時は、仲間と強がって悪いこともやっていたが、もともと繊細な子だったのだろう。

思春期と重なって、心も不安定で、泣いたり怒ったりと感情の起伏が激しく手が付けられなかったと聞く。

2年生に入って、すぐ自主退学をした。

もうこれ以上は無理だった。

 

その後は、また中学の時の仲間と遊び始めたが、お母さんの忍耐強い説得で、スクーリング制の高校に通わせ、何とか卒業の証明をもらった。

その間も、家出こそしなかったものの、遊びまくって帰ってこない日も多かった。

 

心配で、眠れない日も数えきれない程あったと思う。

それでもMさんは、いつもAちゃんと真剣に向き合った。

私がMさんの立場なら、とっくに見捨てていただろう。

 

Mさんは、時折、こう言った。

「A子はパパ大好きだったからね、A子は寂しかったと思うんだ。離婚って、親の勝手だからね。」

離婚の理由は知らない。

でも、離婚によってAちゃんは大好きなパパと離れることになり、楽しく通っていた小学校を転校させられ、いじめにあった。

そのことが、ずっとMさんの中にあったみたいだ。

 

Aちゃんは高校卒業してからも、しばらくはやんちゃを繰り返していた。

そのうち、すぐに辞めていたアルバイトも続くようになって、生活も少しずつ、本当に少しずつだが落ち着いていったようだった。

 

高校の時、Mさんに頼まれて、Aちゃんと話をしたことがある。

今思い出しても、何を話したかさっぱり覚えてないが、

Aちゃんが私に言った言葉だけははっきり覚えている。

 

うっせんだよ、クソババアー!

 
隣の部屋で、こっそりと二人の話を聞いていたMさんが、慌てて飛び出してきた。
うるさいって、あんた誰に口きいてんのよ!とMさんはAちゃんをたしなめた。
 

二人そろって、うざいんだよ!

Aちゃんは、そう捨て台詞を吐いて、プイと出って行った。

 

しきりに、Mさんは私に謝った。

 

今じゃ笑い話である。

 

あれから、Aちゃんとはついぞ会っていなかった。

 

だから、今日会ったのが5年ぶりである。

 

金髪だった髪は、黒髪になり、いくつもつけられていた耳にはピアスが消えていた。

目の周りの狸みたいな濃い化粧もなく、ほとんどすっぴんだった。

 

Aちゃんてこんなにかわいかったんだね。

もうあの頃の、人を脅すような鋭い目はなくなっていた。

 

Aちゃんは籍だけ入れて、結婚式はまだ先になりそうだ。

旦那様になる人は、今年大学を卒業して、就職先で今、研修中だ。

来月には、旦那様と一緒に新しい地で新生活が始まる。

Aちゃんはもう大丈夫だ。

 

どんな子供も大人になる。

そして自分の道を歩んでいくのだ。

 

クソババアーもうれしいよ。

 

Aちゃん本当におめでとう。