私は、金券ショップで働いている。
金券ショップは、お客様から使わない商品券を安く買い取り、それを数%上乗せした金額で必要なお客様に販売する仕組みになっている。
商品券を売りに来るお客様の中には、たまに、
「○○屋まで行けば、あと1,2パーセント高いんだけどなー」
と、わざと迷ったふりをして、買取率をあげようとするお客様がいる。
それだけならまだしも、目の前でスマホをくぐり、
「ホラここはこんなに高い」
と、スマホのホームページを見せる人もいる。
商品券の買取率は、店によって違うが、同じ看板をぶら下げてても地域によっても大きく違う。
しかもホームページに掲載されているのは、郵送買取の価格であって店頭買取と違う場合が多い。
この辺を誤解されているお客様は多い。
先日も、若い女性のお客様で、JCBギフト券を4枚お持ち下さったお客様がいた。
3900円で買って欲しいとおっしゃる。
多分、大手の金券ショップのホームページでもご覧になったのだろう。
当店の買い取り率は、JCBは95%で、3800円である。
そう言うと、
「なんで、ここはそんなに安いんですか?」
うちの店は、決して安くはない。
地域性を考えれば、95%の買取率は、むしろ高い方である。
ほとんどの方が、この買取率で満足される。
周りは、90%のところが多いのだから。
だが、このお客様は納得がいかないようだ。
だから、こういうお客様には
「そうですね、都心辺りは競合店が多いため、ちょっと、うちより高い買い取り率に
なってるみたいですね。
色々お調べになって、少しでも高く買って下さる店を探されるのもいいかもしれませんね」
と、一応丁寧に、笑顔までサービスして答える。
どうせ都心の繁華街まで行ったところで、お客様の言われる3900円はない。
せいぜい当店より1パーセントアップの96%が関の山だ。
往復2時間もかけて、都心の繁華街まで行くのもいい。
そして、高額な駐車場代を払って後悔するのもいい勉強だ。
ご自由にどうぞ。
と思うが、他の所に行くよう勧めると
逆にお客様は行くのをためらう。
大概のお客様は、最初から他で売ることは考えてはいない。
交渉して、少しでも上がれば儲けものという軽い気持からである。
もともとJCBのような信販系や、デパートの商品券などは、どこの店もぎりぎりの
高い買取率で勝負している。
ほとんどの場合、交渉はやるだけ無駄だ。(高額の場合例外はある)
しかも、金券ショップは扱う金額が大きい。
一件、数十万の買取はザラにある。
たとえは悪いが、商品券数枚では海の中のイワシみたいなものだ。
一匹別の網に行こうとしても、気にも留めない。
交渉は、ほとんどの店で不発に終わる。
というより、無駄骨である。
だから、さらに追い打ちをかけてみる。
「どうされますか?うちは95%の3800円ですよ?他をあたられてみてはどうですか?」
お客様は、この辺で態度が変わっていく。
「やっぱりお願いします」
「ほんとによろしいんですか。ご希望に沿わないのでは?」
「いや、是非お願いします」
結果、こっちはお願いをされて買うことになる。
全く、手のかかるお客様だ。
だがお客様の中には、以前本当に別の店まで行った人がいた。
その方は3万円の商品券だった。
都心の繁華街まで行っただろうから、1%アップである。
お客様は、パーセントにこだわるが、よくよく考えると、その上乗せされる金額は別の店に行く労力と貴重な時間を考えるとあまりに小さい。
よほど高額の商品券を持っているのなら行くだけのメリットはあるが、このお客様の場合は、
千円券30枚だ。
1%で300円。
駐車場代だけでも赤字だったはずだ。
金券ショップに行く時は、まず交渉よりも周辺の相場を知ることが大事である。
ネットの情報は、あくまでもネットの中の話である。
その反面、リアルの店は、驚くほど買取が安い店もあるので注意したい。
金券が主目商品でない小さい質屋さんなどは、JCBのようなトップクラスの商品券でも70%なんてところもある。
さすがにこういうところは避けたい。
くれぐれも
数件、直接電話で確認をして、高い買取率のお店を選ばれることをおすすめする。
お近くに、金券ショップがない場合は郵送買取もおすすめである。
但し、金券を送る送料と振込料は自分が負担となる。
その辺はしっかりお持ちの枚数を考えて計算することをお忘れなく。