「いったい、何考えてんのよ!」
「まあ、まあ、まあ(抑えて)」
怒鳴る私に、夫は、「まあ」を3回繰り返した。いや、4回だったかもしれない。
昨日の夜のことだ。
この男、なんと言う体たらくだ
あれほど言っておいたにもかかわらず、夫は奨学金の書類を何一つ揃えていなかった。
普段、子供の学校のことは私が何でもするが、今回は夫のお兄さんに保証人を頼んでいたので、全部夫に任せていた。
娘が奨学金の返還誓約書の書類を学校から持ち帰ってきた先週の月曜日(12日)、私は言ったはずだ。
「書類一式揃えておいてよね、大事なんだからね。全部揃ったらすぐに私に渡してよね」
「分かった、分かった」
その時確か、二つも返事をしたよな
だから、私は信用して、すっかり忘れていた。(お前も忘れてたのかー!)
娘が昨日の夜、奨学金の書類まだかと聞いた時、私は青くなった
だが、私は自分が忘れていたことは言わない。言うもんか。
この返還誓約書は最後の手続きだ。
これを、ちゃんと期限内にやらないことには、これまでの苦労が水の泡である。
うちの場合、人的保証なので、下記の①から⑤の書類が必要である。
①返還誓約書(署名と印鑑)
②奨学生本人の住民票
③連帯保証人の印鑑証明書
④連帯保証人の収入に関する証明書
⑤保証人の印鑑証明書
義兄は、忙しい人で、出張が多くなかなか家にいない。しかも、車で一時間半はかかる場所に住んでいる。
締め切りは、23日までだ。朝には、娘に持たせなくてはいけない。
間に合うのか?昨日までは不安だった。行動できる日はたった一日しかなかったのだから。
だが、私は自分が忘れていたことは棚に上げ、昨日夫に冷たく、こう言い放った。
「アータが忘れてたんだから、すぐに書類用意して、署名ももらってきてよね」
とは、言ったものの最悪の場合、兄嫁の方に頼んで自分で仕事の後、取りに行こうと思っていた。夫は残業で遅くなることも多かったから‥‥。
だが、夫は今日仕事から早く帰ってくると、書類を揃えて私に渡した。
「え?揃ったん?全部?」
「うん」
義兄は、予想通り出張中だったらしいが、ずい分以前渡した書類を見て、印鑑証明は早くに取っていてくれたらしく、実印は兄嫁に押してもらったらしい。義兄の署名は夫が左手で書いた。まあ、バレないだろう。夫の方の書類も、子供の住民票も仕事中に役所に行ってきたらしく、きちんと揃っていた。
夫は、昨日あれだけ責め立てたと言うのに、ちっとも怒ってもいない。いつも思うが、この男、怒ると言う感情がもともと欠落している。私の気の短さを、分けてあげたいものだ。
これで、明日の締め切りに間に合う。エヘッ。
夫よ、ご苦労だった。
あっけなくうまく事が運んだからよかったものの、こんなにハラハラするのは、もうゴメンだ。
これから、奨学金の返還誓約書を提出される方、書類は早めに準備しようね。