つつのんの気まぐれ日記

アラカン女子の複雑怪奇な頭の中を書いていきます。

専門学校の就職状況、保護者説明会に行ってきた

娘の就職の保護者説明会に行ってきた。

 

娘は地元では最も大きい専門学校に通っている。

 

就職に強い専門学校としての評価も高い。

 

県下にはたくさんの専門学校があるが、とりわけ、この学校は、県内だけではなく他県からも多くの学生が通っている。

 

たまたまうちの場合、通える距離だったからいいものの、中には、家から離れこの学校に通うために一人暮らしを選んだ子達もいる。

 

もう就職の話?ちょっと気が早いのではないか?

 

そう思ったのは無理もない。だって娘が入学したのは今年の4月だ。まだ通いだして半年余りだ。

 

だがその説明会は、意外と大掛かりな形で行われた。しかもこの時期に一回目をやるのはむしろ早いのではなくベストな時期だというのだ。

 

専門学校は2年だから、そうオチオチもしていられないというところだろうか。これが4年大なら早いとは感じないのかもしれない。

 

学校側から資料が渡された。

 

景気動向指数を見ると、2016年の6月から順調に景気回復を続けている。未だ私達の生活に実感が伴っているいるかどうかは別にして、数字上はそうなっている。そしてこの伸びは、現段階の予想としては、しばらくは続いていくであろうと学校側の見解が述べられた。

 

次に、企業の採用動向であるが、昨年、企業は新卒者の90パーセントしか確保できいていない。その影響か、2018年度の採用予定数は前年採用数の17.8%増だ。

 

求人倍率を見てみると、1000人未満の求人倍率は、3,43で、1000人以上の大企業になると0,71倍。これが5000人以上になると・・・・・・・?

 

載っていない!手抜きだろ!

 

で、リクルートで後から自分で調べてみた。

 

なんと、0,39倍だ。かなり狭き門になる。当然といえば当然だろう。世の中の大半は中小企業なのだから。

 

要するに、従業員が少ない企業ほど採用確保が出来ていない状況だ。

 

求人倍率とは、求人希望者一人に対して、どれぐらいの求人があるかの数値であるが、大手企業にこだわらなければ、数字上は、明らかに学生優位の売り手市場である。

 

もらった資料で見る限り、アベノミクスって案外成功してるのかも・・・・・などと思ったりはする。

 

まあ、少子化で生産年齢人口(15歳~64歳)が減少しているということもあるのかもしれない。

 

何が理由にせよ、これからも売り手市場は続いていくのね。

 

きっと、景気もどんどん良くなるんだわ。

 

などと楽観的な考えをしてしまう。

 

おばさんが考える経済なんて、こんなもんだ。浅すぎる。

 

だが、いくら売り手市場とはいえ、多くの学生が狙っているのは大企業であろう。昔ほど大企業神話は崩れてしまったとはいえ、やはり多くの学生が大手企業を目指す。だが、データーを見る限り、特に大企業の採用が増えているというような顕著な動きは、ここ10年程見られない。しかも、業種に対するミスマッチは起こりやすい。

 

仮に10人の男性と10人の女性がいたとしても10組の両想いカップルができることは100パーセントない。これと同じ構図だ。

 

難しいもんだ。

 

2018年度の傾向として、建設、サービス、小売業、情報通信などの分野は不足傾向にあり、前年度を上回る採用を予定している。狙い目ではあるが、やりたいことと違えば、意味のないことである。うちの娘の専門学校にはほとんど関係のない分野ではある。

 

ざっとこんな感じで全大会は終了した。さて、これからが本番である。各それぞれの科へと分かれて、各教室へと誘導された。

 

私が参加したかったのはこっちだ。うちの娘のクラス(科)は最も小さい。生徒数25名程だ。

 

まずプリントが配られた。この中に他のクラス(科)も含めた全体の内定速報なるものがあった。現在就職が決まっている学生達のリストだ。一部抜粋と書いてあるので、全部のリストではない。でも、全部で250名程の生徒の名前とそれぞれの科と内定先が記載されている。

 

9月の時点での就職率は80%。11月辺りまでにほとんどの学生の就職が決まると言う。その中には、2年専門的な勉強したにもかかわらず他分野への就職を希望する者もいるらしい。確かにリストを見ると、この科でこの就職先って、分野が違うんじゃないか?と思う部分があった。

 

一年経過した頃、「やっぱり、これはやりたかったこととは違う」と思うこともあるだろう。そういった者たちも希望に応じて、他分野への就職もバックアップしてくれると言う。

 

リストには、名前を聞けば誰でも分かるような大手企業の名前がずらりと並んでいた。もちろん聞いたこともない名前もたくさんあった。それでも一部抜粋のリストに載るぐらいだから、そこそこ大きいところなのだろう。そしてこの一部に夢をかなえた学生達の満面の笑顔の写真も掲載されていた。


このリストの中で数人の親達が目を付けた就職先がJ社だった。J社はこのクラス(科)に関連の深い業種である。もちろん目を付けるぐらいだから超大手である。福利厚生は抜群であろう。

 

こんなところに、専門学校から行けるのか?

 

今年このJ社に、このクラス(科)の2年生である3名の生徒が内定をもらっている。その仕事に特化した勉強をし、仕事と直結する国家資格を取得している強みなのだろう。確か、去年の資料も見たが、採用は同じ3名だったと思う。

 

このように専門学校は、長い年数をかけて生徒を送り込んできた実績があり、企業との信頼関係もできている。これが専門学校のパイプの強さだ。

 

卒業して多くの企業に散らばっていったこの専門学校の先輩達が、「今」にバトンをしっかりとつないでいるのだ。

 

今ここにいる親達の子供の中から、このJ社にも来年3名程が行くことになるのだろう。

 

しかもこのクラス(科)たったの25人ほどのクラスだ。確率としては悪くない。いやむしろかなりいい。

 

早速、J社に目を付けた親達からの質問が相次いだ。

 

もちろん、J社の同期入社には大卒組がいる。彼らは、4年も大学で勉強し、しかも2つも年上になる。その上、彼らはかなりの熾烈な競争に勝ち抜いて入社してくるのだ。彼らとは将来につながるコースも違えば、初任給も違うだろう。しっかり区分けされるのかもしれない。

 

他の親達がそう思ったかどうかは分からない。

 

だが、そんなことはどうでもいい、親達は我が子を何とか大手に就職させたい、そんな気迫が見えた。

 

先生と親達とのやり取りを聞いていると、やっと現実が見えてきた。

 

J社への専門学校からの入社の場合、位置づけは準社員だった。

 

そんなことだろうと思ったよ・・・・

 

だが、話はここで終わりではなかった。

 

入社して数年後、正社員の門戸がちゃんと開いていると言うのだ。

 

社員に移行するのかそのまま準社員のままでいるのか選択制になっているらしい。

 

今現在その企業で働く専門学校の先輩達は、そのまま準社員を選んだ人達もいると言う。

 

なぜか?

 

専門学校からのJ社への入社は女性の方が多い。

 

要するに、準社員は大掛かりな転勤がないのだ。男性は転勤に抵抗はあまりないかもしれないが、女性になると、結婚、出産と言う一大イベントは、男性とは違う。仕事を続けたいと思えば、転勤のない立場の方がいいに決まっている。

 

そうなると、大企業の福利厚生の恩恵を受け、準社員のまま働き続けるのも悪くないと言う考え方だろうか。

 

まあ、事情に応じて選べるわけだ。

 

この話だけを取り上げると、

 

「やっぱり、専門学校は大手就職になると準社員扱いなのだな」

 

と、思うかもしれないが、そうじゃない。

 

たまたま、この分科会での話の主流がJ社のことに集中しただけのことであって、現在学生達が内定している就職先のほとんどは正社員だ。

 

たかが専門学校だろうが・・・・・4年大学の足元にも及ばないよ・・・・

 

そう思う人もいるだろう

 

だが、実際に大手企業に、来年の卒業とともに行く子達が多数いることは間違いない事実である。もちろん、小さな企業に就職する者もたくさんいる。

 

その説明会には、来年卒業する2人の女子学生が参加してくれていた。1人はそのJ社に、もう1人は別の大手企業に就職が決まっていた。

 

彼女達は、誇らしげに自分たちの就職体験を語ってくれた。

 

まぶしかった。

 

何かを成し遂げた者の顔は美しい。

 

単なる外見の美醜とは違う。

 

その日参加した親達は、彼女達に自分のかわいい我が子をダブらせたに違いない。私の勝手な想像ではあるが・・・・・

 

2019年の就職戦線の火ぶたは切られた。たぶん大学の就職なら、こんな風に親達が入り込む光景は珍しいだろう。もしかしたら、この専門学校の独特な特徴なのかもしれない。

 

だが、大学だろうが専門学校だろうが、親達の思いは一緒である。

 

知名度や会社の規模で就職先を決める価値観は親たちの時代にこそ強かったように思う。

 

参加した親たちの表情は真剣だ。

 

熱心に手元の資料を見ると、社会教養のカリキュラムもしっかりと組まれ、企業研究、時事攻略、面接対策、自己PRワーク、スーツの着こなし講習なるものまであってかなり充実した就職活動ができるようになっている。

 

先生が言った。

 

「大学は、就職戦線を一人で戦いますが、専門学校はチームで戦います。」

 

ほおー、ムカデ競争みたいなもんだな。

 

次に先生はこうも言った。

 

「手前味噌ではありますが、我々にはこの学校の歴史とともに培った就職指導のノウハウがあります」

 

確かに手前味噌だな。

 

さらに最後にこう締めくくった。

 

「我々の就職専任20名が、お子さん方が希望の職に就けるよう全力でバックアップします」

 

完璧じゃないか。

 

もうこれだと、アマゾンで就職ハウツー本を買う必要もない。

 

何と心強いのだろう。

 

説明会は、参加した親達に希望と期待の明かりを灯した。

 

全くよくできたシナリオだ。

 

我が娘が、いったいどんな就職先を選ぶかどうかは分からない。

 

他の親たちと同じように、私も、娘に大手に就職して欲しいと思わないわけではない。

 

だが、仕事と言うものは、続けてこそ…‥である。

 

小さい企業で、雑用から企画、営業まで何でもこなす仕事もそれはそれで面白い。

 

娘には、思い切り自分らしくいられる場所を選んで欲しいと思っている。

 

何はともあれ、有意義な説明会だった。