昨年は母が亡くなった。
そして、同居していた兄は、還暦を迎えた。
兄は独身である。一度も結婚の経験がない。
母はさぞ、心残りだっただろうな。
母は兄がいくつになっても結婚ををあきらめなかった。
半ボケをしても、正常なときは、「息子に誰かいい人いないかね」と、誰にともなく、口癖のように言っていた。
誰かに託したかったのだろうね、息子の人生を。
2035年、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、15歳以上全人口の5割が独身者となるという。確かに増えている、あなたの周りにもいるはずだ、結婚しない人たち。結婚しないのか、結婚できないのか、世の中には、男と女の2種類しかいないのに、なぜ求め合わなくなったのか?そこにはどんな理由があるのか?
今時の結婚事情について考えてみたいと思う。
生涯未婚率と年齢による未婚率
生涯未婚率とは、50歳時点で一度も結婚経験がない人の割合だが、これが、2015年の国勢調査によると男性24、2パーセント、女性14,9%になっている。実に、男性4人に一人、女性7人に一人が独身という計算になる。数値から分かるように、男性の未婚率の方が圧倒的に高い。自然の摂理で、だいたい男の子と、女の子の出生率はそう変わらない。なのになぜこのような差がついてしまうのか。考えられるのは、一人の男性が、複数の未婚女性と結婚している。ということか?
確かに離婚歴のある男性は、女性の扱いにも慣れているため、30代後半まで独身でいた男性と比べると、包容力がありそうに見えて、より魅力的に感じる女性は多いのかもしれない。しかも、子供がいたとしても、女性が引き取るケースが多いため、出会った時は一見バツイチかどうかはわからないというのもあるだろう。
それでは、年齢による未婚率も見てみたいと思う。
20歳~24歳(男 94.8%)(女 90.9%)
25歳~29歳(男 72.5%)(女 61.0%)
30歳~34歳(男 46.5%)(女 33.7%)
35歳~39歳(男 34.5%)(女 23.3%)
40歳~44歳(男 29.3%)(女 19.1%)
45歳~49歳(男 25.2%)(女 15.3%)
50歳~54歳(男 20.3%)(女 11.4%)
55歳~59歳(男 16.1%)(女 7.8%)
(平成27年国勢調査)
直近の調査(2018)によると初結婚の平均年齢は男性31.1歳、女性29.4歳となっている。私たちアラカンの世代は、女性は25歳までに結婚という意識が強かった。そのころ男性は27歳ぐらいだったと思う。それに比べると、今の若者は、悠長だ。25歳なんて早すぎ!もっと遊んでからじゃないと後悔する!と言わんばかりだ。一つは、女性も男性も高学歴になったこともあるんだろうね。そこには 4年の開きがあるのだから当然と言えば当然だ。18歳で社会に出るのと、22歳で社会に出るのとではずいぶん違うからね。晩婚化、未婚化は避けられないのかもしれない。
結婚したくない若者が増えている?
結婚に対する意識調査によると、18歳~34歳までの男女の答えは、1、いづれ結婚するつもり2、一生結婚するつもりはない。の割合は9:1といつかは結婚しようと思っている人の方が圧倒的に多い。さらに、未婚者の希望子供数は、ここ20年は2人と安定している。
なんだ、若者の大半は結婚しようと思ってるし、子供も欲しいと思ってる人が大半のようだ。
で、問題なのは、特に男性だが結婚する時期を「いつか」「そのうち」と思っている点だ。男性は子供を産むという役割がないため、いつまでに結婚しなきゃという期限意識が薄いのだと思う。それが婚期を逃していることに早く気が付かなくてはいけない。
初婚夫婦の年齢差はどれぐらい?
1、同年齢(21%)
2、夫1歳上(14%)
3、夫7歳以上(11%)
4、妻1歳上(10%)
5、夫2歳上(9%)
6、夫3歳上(7%)
7、妻4歳以上(7%)
8、夫4歳上(6%)
9、妻2歳上(5%)
10、夫5歳上(5%)
11、夫6歳上(4%)
12、妻3歳上(3%
(平成27年人口動態統計より)
統計によると、年の差婚より、圧倒的に年の近い相手と結婚するパータンが多い。確かに周り見渡せば、そのようだ。せいぜい年の差3つぐらいで考えた方がいいかもしれない。
男性の中には、若けりゃ若い女性ほど大好きって人もいる。しかも年が行けば行くほど、男性はこの傾向が強くなるからたちが悪い。もちろん、子供ができやすい年齢の女性を選ぶってこともあるんだろうけど、この考えは改めた方がいい。統計によると、夫7歳以上は全体の11パーセントだ。
私の知り合い全部探しても7歳以上の男性と結婚した女性はたったの1人だ。いや、もう1人いる。12歳上ではあるが、バツイチの子持ちと結婚した。だが、あくまでも少数派だ。
男性の場合、30代後半になって結婚を意識しても年の差3歳程度で考えると未婚女性はすでに全体の3割程度しか残っていない(年齢別未婚率より)。女性にしてもそうだ、当然選択肢は狭くなる。善?は急げなのだ。
結婚しないのは、出会いがないから?
最近の結婚しない理由に、そもそも、彼氏彼女がいないという非交際化というのがある。2015年の時点で、18歳から34歳の未婚男性の7割、女性が6割に彼女彼氏がいないという結果が出ている。
この非交際化、2005年から急激に増えている。
25歳からの34歳までの男女の結婚しない理由に適当な相手に巡り合わないが約半数近くもある。そもそも交際がなければ、結婚は成立しない。その前に、出会いがなければ交際は成立しない。
要するに、街に行き交う若者たちの多くが彼氏彼女がいないのだ。
出会いがなければ、出会いを作ればいいが、これが難しいんだね。昔だったら、お年頃になったら、ほっといても世話好きのオバちゃん、オジちゃんが勝手に出会いをお膳立てしてくれたもんだよね。恋愛スキルのない男性女性でもこれがあったからすんなり結婚できてたんだね。
会社でも、部下が年頃になれば、どっかのお嬢さん見つけてきて紹介したりしたもんだけど、それもなくなった。昔は、男は結婚して一人前みたいな意識があって、いつまでも結婚しない男性は、ちゃらちゃらと軽く見られていたような気もする。出世にも響いたしね。
「そろそろ結婚したらどうだ」,というのを「そろそろ落ち着いたらどうだ」という言い方をしてたぐらいだもの。
しかも、年功序列が崩れ、独身の若者が上司なんてものもあるしね。
年上の部下が独身の若い上司の結婚なんて心配しないよな。
社会全体が、未婚化を後押ししているようだ。
男女平等は、恋とは無関係?
これほど世の中男女平等だと言われているのに、なぜか恋の現場では男性からのアプローチを望む女性が圧倒的に多い。
それなのに、今時の男性はなかなか女性に声をかけられない草食男子が増えている。
これじゃ、恋も始まらない。これまでにないほど、自由に恋愛ができる時代なのにもったいない話だ。
しかも、女性は結婚相手に年収400万上を求める人が全体の6割~7割。今も昔も男性の収入で生活するというスタンスは変わっていないようだ。
その年収400万をクリアできない男性が結構多い。非正規の雇用が多い今の社会は、未婚男性の25%しかいないのが現状だ。
その結果、選ばれない男たちが「結婚なんてやーめた!」と思ったとしても仕方のない話かもしれない。
これだけ働く女性が増えているのだから、年収を男性に求めるのはいかがなものか?
現代は昔のように、給料が年齢とともに上がっていく形態とは違う。年収なんて今時、アテにならない不安定な条件に過ぎない。「この人のここが好き」っていう感情の方がよっぽど頼りになる条件だと思う。いくら年収の高い男性をゲットしたとしても、数年後、激務で体調を崩し、あっけなく退職なんてことも今の時代いくらでもある。その時、何とか二人で乗り越えようと思うのはやっぱり、「好き」という感情ではないだろうか。
既婚者と未婚者、幸福度はどっちが高いか?というある調査結果があるが、それによると、既婚者の方が幸福度が高いという結果が出ている。しかも男性より、女性の方が幸福度が高い。この結婚しているかしていないかが自己肯定感にもつながっているという意見もある。もちろん、自己肯定感が高いのは既婚者の方である。ひとまずは、家庭を作ったことで親を安心させることができるし、男性だったら、妻子を養っていることで自負心が得られるし、女性だったら子供を産んだというだけでも社会に貢献したと思えるのだろうな。もちろん、社会的に成功した人達や何か好きなことにに打ち込んでいる人たちにとっては結婚しようがしまいが自己肯定感にかけらも影響はない。だが結婚したいのに結婚できない人にとってずっと未婚であることは、自己肯定感をやや低めてしまうのかもしれないな。その人の思い込みによって。
別に結婚などしなくてもいいのではないのか?などと結婚不要説が一部ではあるが、でもね、私たちは誰も一人で突然発生して突然消えていく存在ではない。誰かの愛情で生み育てられ、誰かの悲しみを受けて葬られていくのだ。
私の母は晩年、自分が先に行った後の兄のことを心配していた。どんなに立場が逆転しようとも親にとっては子供はずっと子供だ。親からすれば、子供には結婚してほしいものだと思う。それでも縁がなくて結婚しない人もいるだろう。どうしても、結婚が性に合わないという人もいるだろう。それでも多くの人は結婚したいと思っているのだと信じたいな。結婚はやってみないとわからない。「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」である。
恋愛はチャンスではないと思う。 私はそれを意志だと思う。
太宰治の有名な名言だ。
結婚も強い意志なのかもしれないね。