人生でつらいとき、あなたを支えてくれる人は誰ですか?
家族です!
夫です!
恋人です!
親友です!
同僚です!
上司です!
いやいや、それ無いです。
そりゃ、金銭的なものなら親とか、夫とか、恋人とかが支えてくれるかもしれない。もちろん支えにならない家族もいる。
親友、同僚、上司になると、金額にもよるけど、まず無理だと思う。最近じゃ、情でお金は貸さないからね。
私の友人にクレジットカードで3年ほど前に25万借りて、いまだに返済し続けている人がいる。利子だけを返済し、元本は一向に減らないのだ。彼女が借りたのは、彼女の贅沢ではない。シングルマザーの妹さんの入院費とその間の生活費だった。もちろん彼女はわずかではあるがパート収入があるので、それで返すつもりだったが・・・・生活費の一部になってるので、なかなか返せないらしい。
「それぐらい、ご主人に一括で出してもらえば?」
首を横に振る友人。借金があることを言いたくないのだそうだ。別に仲の悪い夫婦ではない。休みの日はよく二人で出かけている。
不思議だが世の中、お金のことを家族に打ち明けられない人は意外といる。それが必要なお金だったとしてもだ。
人は、なぜか身近な人に支えてもらおうとはしないものだ。お金でさえそうなのだ。心の問題となるとなおさらだろう。夫は仕事がうまくいかずつらくても、妻に相談したりしないだろう。相談したところで解決しないことを知っている。子供も学校でいじめられていることをなぜか親に知られたくないと思っていたりする。いよいよ当人が切羽詰まって、顔つきがおかしくなって周りに発覚してしまうパターンがほどんどだ。もうその時は、夫はしっかり鬱が出来上がり、子供は不登校が出来上がっているはずだ。もちろん、そうなったとき、家族も親友も、会社の人も心配はしてくれるだろう。家族なんかは、何とか必死で支えになろうとするだろう。妻にしろ、親にしろ、自分が救わなきゃ!なんて思ったりする。
だが、本人から言わせれば、それって、うざかったりする。
ほっといてくれ!一人にしてくれ!
こうなると、家族も友人もお手上げ状態だ。心療内科に引っ張っていくぐらいしか方法がない。だが、薬で幾分、楽にはなるが回復するわけではない。
不思議なことに
意外にもつらい立場にいる人を救うのは、たった1冊の本だったりすることもある。
ネットで書かれていた見知らぬ誰かの体験談だったりすることもある。
つらいとき欲しいのはアドバイスじゃない、弱り果てて自分の中にないと思いこんでいた「本当はこうしたいんだ!自分はこうなりたいんだ!」という強い思いをを引き出すきっかけだ。
そのきっかけは身近な人の中には見つけられないことが多い。自分の延長線上ではなく、毎日のルーチン以外にありそうな気がするのだ。
本意じゃないことが起こったために、本意じゃないことをやってるために私たちはつらくなるのだと思う。
私の知り合いのお子さんに、不登校だった子が施設のイレ掃除をやり続けることで立ち直った子がいる。別の記事でも紹介した話だが・・・・・別にトイレ掃除が彼女を救ったわけじゃない。トイレ掃除は彼女の「本意」に近づくためのきっかけに過ぎなかったと思う。彼女は友達とうまくいかなかった。友達から嫌われている、自分さえも自分を嫌っている・・・・自己嫌悪、劣等感・・・感受性の強い思春期に起こりやすいパターンだった。だがトイレ掃除をしていくにしたがって、人に褒められる、人に感謝される。そんな自分がほんのちょっと誇らしく思えてくる。
「みんなから好かれている素敵な私!が本意だったのだろう」
思春期の女の子はたいがい、そんな思いがある。私もはるか昔そうだった(どんだけ昔だ!)
だけど現実の私は友達とうまくいかない。そんな自分が嫌いだ・・・
でもトイレ掃除するうちに‥‥私、けっこう、イケてるかも?と思ったかどうかはわからないがトイレ掃除がきっかけで学校に行けるようになったのは、事実だ。ゆっくりではあったが・・・・。
ちなみに本意とは?本当の気持ち、本来の意図(こうしようと考えていること、または目指すこと)
先週、半沢直樹の最終回があった。
半沢の妻の花ちゃんの言葉が話題になっている。半沢に異動に関する電話があったときの花ちゃんの対応が神すぎると。
「今回は出向どころでは済まないかもしれない・・・・・ごめん」そう謝る半沢に花ちゃんはあっけらかんとしてこう言った。
「そっか・・・・いっそのことやめちゃえば?」
「もう、頑張んなくていいよ、銀行員だけが仕事じゃない、そりゃ再就職なんて簡単にはできないかもしれないけど、その間、私が稼ぐから」
「今まで必死に尽くしてきた銀行に、お前はもういらない、って言われたらこっちから辞表をたたきつけなさいよ」
そして最後のきめ台詞が、「仕事なんてなくなったって、生きていれば、何とかなる」
こうだもんね。会社でつらい思いしてる男性諸君!ウルッときたんじゃね?
しかし!
私は思うのだ。
確かに、花ちゃんの言葉は半沢の気持ちを楽にしたかもしれない。でもね、半沢直樹を最後の最後で、銀行員として踏みとどまらせたのは・・・・半沢直樹を本意に導いたのは・・・・・・・自分の父親を自殺に追い込んだ大和田だったんだよね。
これを、ドラマの絵空事だと思うか?
オンデーズの田中修治氏の自著「大きな嘘の木の下で」の中にこんなエピソードがある。
メガネチェーンのオンデーズは、もともと借金まみれの会社だった。年商20億なのに14億の負債。倒産する!と周りの誰もが思った。それを買いどって見事に立て直したのが田中社長だった。
最初からうまくいったわけではない。最初の5年は資金繰りは火の車だったそうだ。その中でも、最もひどかったのが5年目の年末。いよいよおカネが回らなくなり、社員の給料も払えない。銀行や投資家に土下座までされたそうだが、誰からも助けてもらえない。万策尽きて、自己破産が頭をよぎり、債権者の恐怖で眠れない日が続き、自殺まで考えられたそうだ。
そんな時、最大の親友、黒川社長(どこの社長やねん?)はこう優しい言葉をかけられた。
「もう十分頑張った、オンデーズを倒産させても誰も修治君を責めないし、また一から頑張れば良いじゃん。俺も仕事を発注してあげるし、いくらでも食っていけるから、もうこれ以上無理しない方が良いよ」
当時同棲していた彼女(今の奥さん)も優しい言葉をかけている
もう会社なんて辞めなよ。しばらくは私が働いて食べさせてあげるから。休んだ方がいいよ
オッ、花ちゃんみたいな奥さんいるんだね。
田中社長は親友や彼女の優しさにいっそ何もかもあきらめそうになったという。
が、そんな時・・・
田中社長が夜ベッドに入って、目を閉じると・・・・ふつふつと瞼の裏に浮かんだ顔があった。それは・・・・・・・・
自分を馬鹿にしてきたたくさんの奴らが喜ぶ顔だった。
だから、あの時、最後の最後、どん底に追い込まれた僕の精神を「支えて」くれていたのは、反吐が出るほどムカつく奴らなのである。
と、告白されている。
田中社長は嫌な奴を思い出すことによって、「やっぱり俺はこうしたい!オンデーズを立て直したい!」という強い思いがふきだしたのだろう。いっそ親友や彼女の言葉に身を委ねた方が楽には違いない、だがそれは・・・・・本意ではないと。
そうやって立ち上がることによって、今のオンデーズがある。
私は思う。人がつらくなるのは本意と違うことをしている自分が許せないからではないだろうか。
つらいとき、あなたを支えてくれるのはあなたの中で、消えかかっている「本当はこうしたい、本当はこうなりたい」という強い思いに気づくことなんだと思うわ。いや、自分の中に「自分は本当はこうしたい、こうなりたい」という思いが必ずある信じること。
つらいことはそれでもつづくかもしれない。
でも、なんだかそれがつらいことから抜け出す第一歩のような気がするんだけど・・・・違う??
身近な人は、信じて見守るしかないのかな。